書評の書評⑴

日経新聞土曜版から興味を持った書評のまとめ。

 

書評 『現代中国外交』(毛里和子著、岩波書店)/ 川島 真

本書評は、アジア政治外交史を専門とする評者が、同業の著者の分析に対して、自身との相違点も踏まえつつ、簡潔に要点を整理したものである。

第一段落に、簡単な著者の紹介と本書の全体構成を大まかに説明する。

第二段落からは、著者の分析の特徴を3点にまとめ、本書の要約をする。段落の最初は「著者の分析の特徴は3点ある。第1に、〜」から始まり、読者が要点だけを抜き出して読むことができるようになっている。文章を書く際の定石がここでは使われている。また、ここでは著者の考えは含まれておらず、内容だけに徹していることも、読者が要点を知る際に混乱しないための工夫と言える。

第三段落、第四段落では、著者の理解を簡潔に述べ、自身との相違点を論じた上で、本書を価値ある分析だと述べている。

 

文章を書く上での基本的な体裁で、構成は非常に理解しやすい。中身自体は専門的で、一回読んだだけでは理解できないものの、必要な情報にすぐにたどり着ける書き方なので、実用性の高い書評だと思った。評者にとってもこの文章は索引として機能するように書かれたのでは。

 

現代中国外交

現代中国外交